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カンボジアと
支援活動について

カンボジアはインドシナ半島に位置する立憲君主制の⺠主主義国家です。9〜15世紀のカンボジア王国「アンコール時代」には、アンコール・ワットやアンコール・トムなどの世界的な遺跡が建設されました。その後、勢力の衰えとともに隣国の侵略を受け領土を縮小。1887年にフランスが植⺠地化。1953年にカンボジア王国としてフランスから独立後、暫くは安定した王政国家が続きますが、1970年のクーデター以後は内戦状態に。1975年ポル・ポト政権の誕生により内戦は終結した一方で、恐怖政治により100万人以上が命を落とす悲惨な時代となりました。1979年にベトナムの支援を受けたヘン・サムリン政権が誕生したものの国内の混乱は続き、1993年パリ協定に基づきUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)が総選挙を実施、シハヌークが国王に再即位しました。

❶ カンボジアは
どこにある?

❷ カンボジアの人口は?

人口約1,513万人で、90%のクメール人の他、中国系、ベトナム系、チャム族などの少数⺠族で構成されています。ポル・ポト時代の虐殺や内線の影響で若年者人口の比率が高く、15歳未満の人口が全人口の約3割を占めています。国⺠の8割程度が農村に居住している一方、首都プノンペンには全人口の一割以上が集中している。首都はプノンペン都。⻄はタイ、北はラオス、東はベトナムと国境を接する。公用語はクメール語(カンボジア語)。仏教(上座部仏教)を奉ずるクメール人(カンボジア人)が大部分を占めています。

❸ カンボジアの教育は?

ポル・ポト時代に教師や専門家といった高等教育を受けた知識層の人々が徹底的に殺されました。教育が否定され、学校や教育施設は閉鎖、収容所などになりました。焚書政策では、カンボジア固有の書籍も失われ、カンボジアの教育制度は完全に崩壊しました。それらの影響は現在も続いており、カンボジアの国の復興・発展にとって教育は最も重要な課題のひとつとなっています。農村部で暮らす人々の中には、本に一度も触れたことがない人たちも大勢います。

❹ 課題と⽀援活動

カンボジアにおける教育の課題

根本的原因の一つは
「教育」の不足

教育を受けられないことで、読み書き・計算ができない状態で大人になると、仕事に就けず、収入も少なく、本人や子どもも教育を受けられないという悪循環が続いてしまいます。読み書き・計算が出来ないということで、社会サービスを受けるための情報にアクセスできなかったり、経済的な搾取や生命の危険(薬などの説明が理解できなかったりするなど)に晒されるリスクも高まります。

子どもが教育が
受けられない理由

家庭の厳しい経済環境、家計を助けるための中途退学、女の子に教育は必要ないという考え方、物理的に学校が家の近くにない(特に農村地域)さまざまな理由で親と暮らせず路上生活を強いられている子どもなど

読み書きができない理由

小学校に通うことができなかった、途中でやめざるを得なかった、また生まれてから大人になるまで絵本や本に一度も触れたことがなかったり保護者も読み書きができなかったなどの理由で基本的な読み書きができないまま大人になってしまった人たちが数多くいます。

安定した職業につけない理由

基本的な読み書きや計算ができないと、専門的な技術を身につけたり、仕事に必要なスキルや情報を得たり、習得することが難しくなります。そのため労働条件が厳しくなったり、選択できる職業の幅が限定されるなどの問題が起こってきます。

収入が少ない理由

基礎教育を受けられたかった人が、安定した収入を得る仕事に就くことは非常に難しいと考えられ、過酷で危険な労働条件でも低賃金で働かざるを得ない状況があります。また読み書きや計算ができないと、自分や労働者としての権利や法律、契約、様々な制度がわからず、だまされ搾取されたり、機会を逸してしまうリスクも高まります。

立ち遅れるカンボジアの
障害児教育制度と教育格差

場所・教材・教員・情報と
アクセスするための
スキル、コミュニティの理解などが不足

カンボジアでは2009年に障害児教育に関するマスタープランを策定されました。しかし様々な障害を抱える子どもたちが、適切で十分な教育を受けられる環境、施設、福祉制度の整備が特に農村部で進んでいない状況です。教材や専門的知識をもつ教員、地域コミュニティの理解、情報にアクセスするための知識やスキルが不足している状況です。

障害児と健常児の格差

障害児の小学校就学率

カンボジア全体 約82%
障害児 約23%

出典)Public Education Statistics & Indicators 2018 – 2019
General Population Census of the Kingdom of Cambodia 2019(2020年10月)

都市部と農村部の格差

障害児の中学・高校卒業率

中学校 都市部 約23%
農村部 約14%
高校 都市部 約3%
農村部 約1%

出典)General Population Census of the Kingdom of Cambodia 2019(2020年10月)

❺ カンボジアでの支援活動

「守り」 「育む」

自ら未来を拓きたいと
願う子どもたちに
教育と学びの機会を
届け続ける

児童保護施設運営支援・
進学支援

貧困により家族と一緒に生活することができない子どもや、さまざまな理由でストリートチルドレンになった子どもたちが、安心安全に暮らせる、保護施設の運営支援と進学支援(奨学金基金事業)おこなっています。カンボジアの首都プノンペン市とタイとの国境地域であるプレアビヒア州の2か所の施設では、現在約70人の子ども達が、共同生活を送りながら、通学や勉強を続けています。

寺子屋教育運営支援

家の農作業を手伝うため、家計を支えるため、近くに学校がないため、女の子だからなどの理由で学校に通えない子どもたちが暮らすカンボジア国境地域に位置する、プレアビヒア州にある5つの村で寺子屋教室の運営支援を行っています。

地域の人、一人ひとりが認め合い、
支え合う持続可能な地域と
コミュニティをつくる

寺子屋教室の多様な役割

教育の広い受け皿をづくり

就学年齢を超えてしまったり、途中で学校に通うことを諦めてしまった子どもや若者などが年齢に関係なく、自分の意志に基づき、学びたいと思った時に、何時からでも学べる場所、機会づくりを行っています。

読み書き計算を学ぶ

日々の生活に必要な読み書きや、健康、安全に暮らすための保健、衛生のことなどを学びます。大人や地域の人たちに「教育」の大切さを理解してもらうことは、継続的な学びにもつながると考えています。

情報に触れアクセスする

農村地域で暮らす人々が本や外部の情報に触れる機会は限られています。また情報をどのように入手し、そしてその活用の仕方を学び、身に着けることも今後の生活をより良くしていくためにはン不可欠です。

ライフスキルを身につける

地域の人たちの継続的な理解と継続的で自立的な運営のためには、読み書き計算だけでなく、家庭での生活や収入の向上につながる、知恵や知識、技術を子どもだけでなく大人も習得できるプログラムなども取り入れていきます。

コミュニティで支え合う

子どもも大人も同じ地域やコミュニティで暮らす人々が互いを知り、情報交換し、学びあう「場」が寺子屋教室です。そのような機会をつくっていくことが、自立的で持続可能な地域づくりのための第一歩と捉えています。

寺子屋教室の運営にあたって重視していること

  • 寺子屋教室を作って終わらない
  • 地域の人々のニーズや課題解決につながるプログラムを届ける
  • 対話を重視し子どもや地域の人々に寄り添う
  • 教育の重要性を理解してもらい、自立的で持続的運営につなげる

幼稚園教員養成支援

カンボジアには幼稚園教諭の養成校(PSTTC)は1校しかありません。保護者が病気を抱えていたり、自身が孤児であるなど、経済的に困難な状況にありながらも幼稚園教員を目指す、学生への支援を行っています。

訓練生の声

昔から小さい子どもたちの面倒を見たり、勉強を教えたりすることが好きでした。子どもたちに教育を受ける機会を与えることはこの国にとってとても大切です。私は教員として故郷に戻りたいと思っています。近年、私の村では教員が不足しています。農村部では教育の大切さを理解していない人々もいます。村に戻り教育の大切さを伝えていきたいです。

チェング・シレアット(女性、22歳)プーサット州出身

農村部障害児の
ライフスキル向上支援

カンボジアでは、障害を抱える子どもたちの小学校就学率が非常に低く、都市部と農村部での「格差」もあります。適切な施設や教材、専門的知識をもった教員も不足していたり、また障害児への偏見や差別から、子どもを外に出したり、学校に通わせることをことためらってしまう保護者もいます。障害のある人々を取り巻く環境は厳しく、大人になっても職を得ることも難しい状況です。そこで自分で力で生きてくための能力(ライフスキル)を学び、身につけられる、場所と機会を届ける活動を農村部カンポット州で始めました。障害や差別に負けず学ぼうとする子どもたちが、私たちが運営する3つの村の「チルドレンスタディクラブ」に通っています。

カンポット州の障害を抱える
子どもたちの5つの教育的な課題

これらの課題を解決していくための取り組みを、現地パートナーのCADDP、地域の人々、学校、行政などと連携して行っていきます。