30万人が生活しているといわれるカンボジアの首都プノンペンのスラム。そこに住む子どもたちの多くは、学校にきちんと通うことができません。学校の教材や先生への少しばかりの謝礼(カンボジアにはそんな慣例があります)を負担できない、あるいは、家計を助けるために働かなければならない、というのが多くの理由です。
そんな子どもたちのため、スラムの中に教室を構え、教材や学用品、通学バッグなど必要なものを全て無料で支給し、授業料も(当然、先生への謝礼も)必要ない寺子屋教室を、カンボジアの市民団体SCADP(スキャップ)とエファジャパンが協働し2007年から3箇所で運営しています。
寺子屋教室で教鞭をふるう先生達は、教師としての訓練を受けていません。高校卒業の学歴を持ち、多くはSCADPにボランティアとして関わる人の中から採用された先生が、採用時に2週間の研修を受けるだけで、異なる年齢の生徒を1人で受け持つという難しい仕事をしなければなりません。せっかく通って来ている子どもたちのため、先生の能力を高め、授業を充実させることが課題となっていました。
そこで、エファジャパンの会員である小学校教諭にご協力いただき、支援している3つの寺子屋教室の先生たちへ研修を行ないました。指導内容は、主に子どもたちの意欲を引き出す教授法と成績管理について。黒板に板書するタイミングや簡単に作れる教材(計算カード等)を使った授業の進め方、採点時に○×だけでなく花マルを使って子どもの「マルをもらいたい!」という意欲を引き出すこと、また、教室を2つに分けてレベルの違う内容を教える方法などを指導していただきました。
研修の後すぐに実習してみたところ、前を向き黒板に集中する生徒が増え、発言の声が大きくなったり挙手が増えたりと、集中力が高まっているのがはっきりと分かりました。また、カードを使ってスピード感を出すと子どもたちがゲーム感覚で楽しめるため授業が盛り上がり、研修を受けた先生達も手ごたえを感じたようです。今後も教材作成支援や研修のフォローアップを実施し、教科別の成績管理を導入するなど、先生の能力開発をするすることで、子どもたちの学びを支援していきます。