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エファ通信

2010.12.22 更新

エファ通信88号

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   エファ通信88号
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みなさま

 この季節になると社会的にも、経済的にも話題になるのがプレゼ
ント。日本では子どもたちだけでなく、おとなでさえクリスマスや
お正月での“贈り物文化”があります。宗教的・伝統的な生活をし
ていない私は、行事にあまり関心がなく、自分が一般的なイベント
の多幸感から恩恵を受けるのもおこがましいと感じてしまいます。

 そんな私に何の気兼ねもなくクリスマスプレゼントをくれたのが、
SCADP(エファと寺子屋教室を運営しているカンボジアのNGO)の女
の子。しかも海外出張中のエファ事務局長に私へのプレゼントを持
ち帰らせるという…。2回の滞在を通じていちばん仲良くなった彼女
は私と同年代で、色々と個人的なことも語りあい、よく一緒に遊ん
だものです。

 国民の90%以上が仏教徒であるカンボジアでクリスマスがもつ意
味とは何か、子どもたちに聞いたことはありませんが、彼女がくれ
たカードには「元気で楽しくクリスマスを過ごせますように」とあ
りました。クリスマスは友人や家族が健康で幸せに過ごせるよう祈
り、また相手を大切に思う気持ちを表現する機会であるように感じ
ます。プレゼントをもらった私も、深い意味を考えることなく“う
れしい”と感じ、お互いの思いが自然に行き交っていました。

 SCADPの子どもたちは私に色々なものをくれますが、その度に葛藤
していました。彼らは駄菓子やプラスチックの小さな指輪・ペンダ
ントなど、自分にとって好き・大切なものを気前よく差し出します。
初めは子どもたちからもらうことに抵抗感がありました。しかし笑
顔で合掌して「オークン(ありがとう)」と言うと、子どもたちも
満足そうに満面の笑顔をみせてくれます。
 その笑顔には自慢げな輝きもあります。

 “国際援助”という名のもとで物をあげるだけの支援に違和感を
感じている私が、否応なく日本という国籍を背負っている限り、カ
ンボジアの子どもたちとのモノのやりとりには何となく敏感になっ
てしまいます。個人的に日本からおみやげを持って行けないのも、
そんな感情が働いてしまうから。

 しかしこの妙な慎重さが「人を喜ばせることは自分にとってもう
れしいこと」、そんな自然なことを忘れさせていました。子どもた
ちから何かをもらったらお返しをする。お菓子やジュースをおごっ
てもらったら、次は私がおごったり、みんなで分け合う。日常的な
心のこもった“あげる・もらう”は素直な気持ちでやればいいと、
SCADPの子どもたちが教えてくれました。

 日本の“贈り物文化”に利害関係や計略がないとはいえませんが、
大切な人を喜ばせるためにこの機会を活用してもいいのかな、と思
います。

■■目次■■

○お知らせ○
・新ポスターも完成!年末年始にハガキ集め
・エファジャパン事務局 年末年始休業のお知らせ

○主な動き○
・理事会報告
・跡見学園女子大学へ出講
・事務局長出張報告
・自治労広島県本部3ヶ国ツアー
・ラオス活動報告

○ちょこっトピック○
・ベトナムの障がい児

○寄付情報○

○会員情報○

◆◆◆お知らせ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

新ポスターも完成! 年末年始にハガキ集め
———————————————
 今年も早いもので年賀状の季節となりました。みなさまのお手元
には、書き間違えてしまったハガキや汚れて使えなくなってしまっ
たハガキはありませんか?
 エファジャパンでは書き損じハガキを切手・現金に交換し、支援
地の子どもたちを支える活動を実施しています。ハガキ回収による
支援の第一回目として、12月にはカンボジア子どもの家・国立幼稚
園教員養成学校へ自転車を50台寄付しました。これらの自転車は養
成学校に通う訓練生の交通手段として、大いに役立っています。
 みなさまからのハガキは郵便局で切手に交換されるまで施錠して
保管し、スタッフが責任をもって個人情報を守ります。

 ご家族でも、ご友人や職場の仲間同士でも、そして1人でも始めら
れる国際協力。年初めの第一歩として、ぜひご協力のほどよろしく
お願いいたします。

 年末年始用の、かわいい干支のウサギとゾウ(本活動オリジナル
キャラクター)のポスターができました。ぜひご活用ください!

 ポスターやハガキ回収箱は、全国へ配送いたします。お気軽にお
問い合わせください。

○関連情報・写真

・書き損じハガキ回収活動
 https://www.efa-japan.org/?page_id=3222

・書き損じハガキで寄付した自転車
 https://www.efa-japan.org/?p=5518

・年末年始用ポスターのご紹介
  http://efa-japan-staffblog.seesaa.net/article/171665302.html

エファジャパン事務局 年末年始休業のお知らせ
————————————————-
 年末年始のエファジャパン事務局休業は12月29日~1月4日となり
ます。年末は12月28日まで、年始は1月5日から通常業務をいたしま
す。
 ベトナム、ラオス、カンボジアの子どもたちと共に、みなさまが
健康で幸せに年末年始をお迎えになりますよう、心よりお祈りいた
します。

▼▼▼活動報告▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

理事会報告
————-
 12月14日、2010年度第4回理事会が開催されました。9月以降の事
業報告と会計報告の承認後、前回の理事会にて発足が決定した「ア
ジア子どもの家作業部会」の第一回及び第二回部会報告が行われま
した。11月の出張時に事務局長の大島がハイフォン市福祉局と直接
会合をもった結果を含め「ベトナム子どもの家」の将来計画につい
て審議されました。当面は引き続き「ベトナム子どもの家」の支援
及びハイフォン市との協議を進めていきます。

跡見学園女子大学へ出講
————————–
 12月7日、跡見学園女子大学のボランティア論の授業で、広報担当
宮原が活動紹介とボランティアについて話をする機会をいただきま
した。当日の受講者は110人程度。動画や画像で支援地の様子をみな
がら、同じ年頃のカンボジア国立幼稚園養成学校の訓練生の寮生活
の様子や、ベトナム子どもの家の保護児童の家庭環境を聞き、日本
社会や、自分の生活との違いに強い印象を持ったようです。
 また、エファジャパンでは、現在多くの専門家のみなさんに支援
地での研修講師などでご協力いただくほか、国内ではデザインボラ
ンティアや事務局ボランティアなど多くの支援をいただいて活動を
充実させています。そうした事例を聞いた多くの学生さんが「様々
な人が関わって活動が成り立っているのが分かった」「気軽に参加
できるボランティアがあるのを知った」という感想を寄せてくれま
した。

事務局長出張報告
——————-
●ラオス出張報告

 昨年、外務省の「日本NGO連携無償資金協力」を得て開始したセコ
ン県子ども文化センター設立事業が11月に終了しました。終了を前
に、事務局長の大島が現場を訪問し活動を視察しました。
 同センターは改修した古い建物を使っており、子どもたちは図書
コーナーでの読書や読み聞かせ、絵画や演劇、ニュースレターの作
成教室、伝統舞踊や楽器、歌の練習、屋外でのスポーツ、実用的な
技術の習得(木工、竹細工、裁縫、織物)など多岐にわたる活動を
楽しんでいました。最も印象的だったことは、大人の講師と共にセ
ンターの運営研修に参加したジュニアリーダー(年長の子どもたち)
が主体となって活動を実施していたことです。子どもの権利のひと
つである「子どもの参加」が実現されていました。

●ベトナム出張報告

 ベトナム「子どもの家」は近い将来に、子どもの保護に特化した
ソーシャルワーク・センターになり、現在の管理機関である児童保
護基金からハイフォン市福祉局の直接管理に移行することになって
います。11月30日、事務局長の大島がハイフォン市当局に対し移行
に関する進捗状況を直接問い合わせましたが、進展はありませんで
した。従来「子どもの家」がもつ養護施設としての機能、及び補習
や文化活動は継続されています。また「子どもの家」で実施してい
る子どもたちへの職業訓練によって製作された刺繍製品は、エファ
グッズとして販売し彼らの収入向上を支えていますが、この活動も
継続して実施しています。
 9月に日本から2名の講師を派遣し、ハイフォン市内5ヶ所の障がい
児クラブの運営担当者を対象に研修を実施し、その後児童保護基金
に各クラブの運営資金を送金しました。しかし基金代表者が入院中
だったこともあり(11月末に職場復帰)クラブの運営資金は、今回
大島が担当者へ直接手渡すことになりました。あるクラブからは子
どもたちの塗り絵を、他のクラブからは子どもたちが描いた絵を受
け取りました。今後この運営資金を使い、研修で学んだことを活か
した活動が促進していく様子を見守ります。

●カンボジア出張報告

 カンボジア「子どもの家」である国立幼稚園教員養成学校で学ぶ
訓練生にとって、教育実習で他の幼稚園に行くまでの交通費は本人
の負担であり、授業で使う教材費とともに大きな支出になっていま
す。12月9日、この負担を少しでも軽減するため、交通手段としての
自転車50台を寄贈しました。この支援金はすべて、みなさまからご
協力いただいている書き損じハガキ回収活動から得られたものです。
 ご協力、誠にありがとうございました。

○関連情報・写真

・セコン県子ども文化センターの活動(ラオス)
 https://www.efa-japan.org/?p=5461

・書き損じハガキで寄付した自転車(カンボジア)
 https://www.efa-japan.org/?p=5518

自治労広島県本部3ヶ国ツアー
—————————-
 12月4日事務局長の大島がハノイにて自治労広島県本部スタディツ
アーご一行を迎え、ベトナム、ラオス、カンボジアのツアーに同行
しました。ツアーの趣旨は広島県本部が将来的な支援を検討する初
めての視察であったため、短期間でもエファジャパンの事業国3ヶ国
すべてを訪れ、子どもたちと交流するハードなスケジュールとなっ
ていました。各国での交流では県本部の方々から歯磨き指導とフォー
クダンスを披露していただきました。
 参加者のみなさま、本当にお疲れさまでした。

ラオス活動報告
—————–
 日本外務省から資金協力を得ていたセコン県子ども文化センター
(CCC)事業は、11月26日をもって無事終了しました。11月19日~
24日、ラオス駐在員の中村が同地へ出張し、週末にはCCCでの子ども
たちの活動をモニタリングしました。夜にはこれまでの彼らの成果
を発表する会を開催し、保護者や近隣の村人、まだCCCを知らない子
どもたちを招きました。また、県政府関係者と共同で当事業に対す
る終了評価会議や、子どもたちの家庭訪問、担当行政官へのインタ
ビューを実施しました。
 セコンCCCではジュニアリーダーと呼ばれる年長の子どもたちが年
少の子どもたちを指導し、活発に活動へ参加しています。研修や村
での活動の様子をみるたびに彼らの力が伸びているのがわかり、1年
間でこれだけのスキルを身につけられるのかと感心しています。

 コミュニティ図書館事業では11月にチャンパサック県内4校(ポン
トン郡ドンニャン村中・高等学校、マイ村小学校、バジエン郡ウド
ムスック村小・中学校、スックサンパン村中・高等学校)と、ヴィ
エンチャン都内3校(ハッサイフォン郡ナーハイ村小学校、ノンウェ
ン村小学校、シーサタナーク郡ハイソーク村小学校)にてコミュニ
ティ図書館の譲渡式典を実施しました。
 チャンパサック県公共図書館では11月17日に、国立図書館では12
月3日に対象村の先生たちを集めて研修を行いました。

 12月6日と7日に自治労広島県本部の方々がラオスを訪問し、ルア
ンパバン県CCCやヴィエンチャン図書館にて子どもたちとの交流会を
実施しました。保健師の方による歯磨き指導、フォークダンス、ま
た子どもたちによる出し物(絵本の読み聞かせなど)を行い、子ど
もたちも楽しんで参加していました。

○関連情報・写真

・セコン県CCC事業終了
 https://www.efa-japan.org/?p=5453

・コミュニティ図書館譲渡式典
 https://www.efa-japan.org/?p=5426
 https://www.efa-japan.org/?p=5508

■□■ちょこっトピック■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ベトナムの障がい児
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 エファジャパンではベトナムの障がい児クラブ支援を実施してい
ますが、ベトナム国内では未だ、障がい児への包括的なサポートが
確立していません。今回はベトナムの障がい児の状況をちょこっト
ピックします。

<ベトナムの障がい者人口>

 2009年国連アジア太平洋経済社会委員会の調査によるとベトナム
の障がい者人口は500万人以上で、その数はベトナム総人口の約6%
とされていますが、より新しいベトナム家計調査では約1,300万人、
総人口の約15.3%が障がい者であると発表されています。また、0~
18歳までの障がい児人口は約66万人で、同じ年代の子どもたちの人
口の約2.4%ですが、全国的な調査は実施されておらず正確な現状は
把握されていません。
 障がいの種類では、身体(目、耳、手足、内臓など)障がいをも
つ子どもが全障がい児の過半数を占め、精神障がい(統合失調症、
うつ病など)や知的障がいの子どもたちもいます。しかしベトナム
では明確な分類もされていないため、国際的な分類と比較すること
は難しいのが現状です。

<障がい児教育>

 ベトナムの障がい者の多くは障がい児学校のない農村や山岳部に
住んでおり、就学率も非常に低く6歳以上の非識字率が41%とされて
います。障がい児の就学率は明らかになっていませんが、最大でも
10%未満といわれています。
 ベトナムの障がい児教育は植民地時代にカトリック修道院の慈善
事業として始まり、視覚障がい児・聴覚障がい児教育には歴史があ
り水準の高い学校もあります。しかし重度障がい児、特に脳性まひ
などの肢体不自由児に対しては、将来的に労働による社会参加が困
難であるという認識から、教育対象としての意識がもたれず在宅の
まま放置されるケースが多くなっています。また、ベトナムの障が
い児施設の管轄は教育訓練省や保健省でなく労働傷病兵社会問題省
が行っていることから、施設内の活動が正規の学校教育体系へ繋げ
にくい、という難しさもあります。

<新しい法への期待>

 1998年にはベトナムの障がい者基本法が制定され、教育に関する
規定では学費の免除・減免、インテグレーション教育(障がいの有
無に関わらず子どもたちが共に学ぶこと)の実施、教員の特別手当
などの条項が定められています。同年には新たな教育法も制定され
ましたが、障がい児教育が国家の教育法において明確に位置づけら
れていないことや、障がい児学校・学級の設置や開設が国家の義務
として認識されていないことなど基本的な問題点も含まれていまし
た。
 2001年の教育に関するベトナムの政府決定では、障がい児の就学
率を2005年までに50%、2010年までに70%へ上げることが目標とさ
れていましたが、未だ実現されていません。

 しかし2010年6月17日、ベトナム国会で出席者の90%近い賛成票を
得て、国内初の包括的な障がい者法が制定されました。この法律で
は、障がい者が不自由なく医療施設やリハビリ施設、教育、雇用、
職業訓練、文化的サービス、交通機関、情報技術、各種公共施設を
利用できるよう定められています。
 ベトナム国内外の専門家や障がい者自身の声を取り入れて生まれ
たこの法律が施行されるのは、2011年1月1日からです。
 今後のベトナム政府の動き、そして障がい児への包括的なサポー
ト体制が期待されます。

○関連情報・写真

・エファジャパンが支援するベトナムの障がい児クラブ
 https://www.efa-japan.org/?page_id=4239

・VNAH
 (ベトナムの障がい者支援団体、障がい者法作成にも尽力)
http://www.vnah-hev.org/Home.html(英語)

▼△▼寄付をいただきました▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 2010年11月25日~12月21日確認分 ありがとうございました。

カンボジア 計¥2,500
・yahoo募金

●●●会員情報●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 HP掲載は省略 

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発行人 イーデス・ハンソン    編集担当 高田みほ